沼に落ちて。

ほぼ100%宝塚

みちふうお披露目に行ってきたよ

発表当時、「まだずっと先だ」と思っていた柚希礼音のラストデイ、あの5/10(日)から早くも1ヶ月が経ち。

6/12(金)、星組新トップコンビ、北翔海莉&妃海風のお披露目となる全国ツアー公演が、神奈川県民ホールにて初日を迎えました。

というわけで、昨日6/14(日) 15:00公演を観てきました。

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  • 総評
実力派だけど、ビジュアル的には今ひとつ今っぽくないのかな、と思われていた?みちふうコンビ。
でも実際に観てみたらみっちゃんは想像以上にカッコよかったし、風ちゃんも想像以上にキラキラしていて幸せそうで、可愛い娘役さんでした。
本人たちの元々の素地ももちろんあるのでしょうが、「これがトップということなのか」と思わせるような、そんな輝き。
みっちゃんは言うまでもなく、風ちゃんも(近年の傾向としては)遅いトップ就任。お互いがお互いを待っていたような、そんな気がしました。

お芝居・レビューともに歌でヒヤヒヤするところがなく、「星組ってこんなに歌を聞かせる組だったかな?」と嬉しい予想外も。
比重的に一番歌うトップコンビが双方歌うまというのも大きいですが、お芝居において2番手?3番手?だった琴ちゃんが安定の歌唱力だったのと、短くはありましたがソロのあったひろ香祐くん、夏樹れいくんにも「はーー!」と感心させられました。
風ちゃん以外の娘役さんも皆さん上手かった。

今回この全ツとキャッチ・ミーで星組は振分けられてるわけですが、歌うま全部こっちに来ちゃってるんじゃないの?キャッチ・ミー大丈夫なの?と心配(ry


  • 「大海賊」
なぜこれを再演した。

演目発表当時から「えっ……あれを再演…?(困惑)」という声がチラホラ聞こえていた「大海賊」。

初演を観ておらず、なおかつ映像を持っていない私は、「どうやら駄作らしい」ということと、稽古場情報でどうやら「みっちゃんが作品を選んだ」という知識くらいで挑んだんですけどね。

悪い意味で「市民ミュージカル」のようだったな、と。

断っておきますが、お衣装は宝塚だからしっかりした作りだし、全ツなりの制約はあるでしょうが舞台装置もきちんとあるし、みちふうはじめ演者の力量はしっかりしてます。というか演者の力量でなんとか持たせてるというか。

脚本が………(⌒▽⌒)

まず無駄に立ち回りの場面が多い。組子は頑張っているし立ち回りの動作そのものショボいとかそういうのではないけれど、必要以上に長く続けば間延びもするし、飽きる。長いゆえに斬られても動き回るし、斬った後に何故か殴る・蹴るの動作が続く……www

「貴族の息子・エミリオが、海賊に両親を殺され自ら海賊になることで復讐を果たそうとする」話だとあらすじを読んでから観ていたんですが、いつになっても両親が殺されない。爆

そこは物語の始まりであって、海賊に身を落としたところからが本番なのに、とにかく「起承転結」の「起」がやたら長いwww

童話「桃太郎」でおじいさんが山へ芝刈りに、おばあさんが川へ洗濯に…までの経緯がやたら長くって、「いつになったら桃を拾って桃太郎が生まれるの!?」みたいな感じです。本気で。

両親殺されるまでと立ち回り減らしたらもっと海賊メンバーのキャラクターの描き込みだって出来ただろうに。

音楽も……エミリオ(みっちゃん)とエドガー(まさこさん)が最後1対1で斬り合う一番のクライマックスの音楽がwwwwwあんなに楽しそうな曲とかおかしいwwwww

風ちゃん演ずるエレーヌが、不幸なことに先述のエミリオとエドガーの斬り合いに巻き込まれて致命傷を追うんですけど。
そこでエレーヌは死の間際に「海が見たいの」って言うわけです。それはいい。

なぜ海まで歩かせる???

手当しないまま死ぬのはいいよ?フィクションではある話だよ?でも瀕死のエレーヌを歩かせるか???

加えて音が安っぽかったり。昨年の全国ツアー「風と共に去りぬ」(紅さん主演のね)でもこの神奈川県民ホールで観て「音響がイマイチだなあ」と思っていたんですが、今回もやはり。
県民ホール自体結構古い建物(1975年開館、なんとほぼベルばら初演時!)なので、そのせいかと思うんですが、他の脚本の粗と相まってもう。

素敵な場面もありました。
エレーヌが傷を負ってエミリオにすがった際の「あなたの髪…綺麗ね……金色で……海の香りがするわ…」のセリフと、エミリオがエレーヌの亡骸を小舟に乗せて海に出してやるシーンは素敵だと思いましたね。

細かいポイントとしては。
夏樹くんの髭の似合いっぷりがやばい。海賊みんなカッコイイけれど、群を抜いていたかも。
しーらんの側転。みっちゃんも他の組子もしていたけれど、2回3回やるのは彼女です。
悪役チーム、まさこ・ポコちゃん・麻央くんの迫力。とにかくデカイ。そしてポコちゃんの金髪ロングは正義すぎる。
琴ちゃんはもう少し力を抜いてもよかったかもしれない。新船長を選ぶ下りは、ちょっと悪役っぽくも見えてしまったような。
みのりちゃんが激可愛いです。

天寿のお髭は「なんかそれじゃない」感がした。髭の種類?着け方?


  • 「Amour それは…」

これがすっごいよかった!


2009年、宙組公演が初演のロマンティック・レビュー。当時のトップコンビ、大和悠河陽月華のサヨナラ公演であり、95期生の初舞台公演。

もうこの公演をみちふうのお披露目に選んだという事実だけで涙する。

当時みっちゃんは宙組の3番手としてこの公演に出演。風ちゃんは95期生、初舞台生としてロケットをしていました。

それから月日の流れること6年、当時宙組2番手だった蘭寿さんはその後花組でトップとなり既に退団、下級生トップも退団していく中でのお披露目。
風ちゃんも新公や小劇場で何度もヒロインを務めつつも、他組では先に下級生がトップになっている中での就任。

そんなふたりが、初めて顔を合わせた(実際に初舞台生と3番手スターが面と向かうことなんてないのかもしれませんが)思い出の公演を、今再び。

実のところ、個人的にはこういうゆったりしたレビューよりかは賑やかなダイスケショーとかの方が好きで、初演映像を見ながらも「なんとなく眠いなぁ」と思ってたんです。

しかし生は楽しかった!

何より歌が!上手かった!!
音程があった!!(こら)

(何しろ初演がお歌の苦手なタニウメコンビだけあり、その差は明らかでして……まあ初演の話は置いておいて)

「さあ来るぞ来るぞ、歌うぞーーー!」と心の中でワクワクしながら、スターの登場やスポットライトが当たるのを待つ。
そして期待が高まる中歌い出し、「すげーーーうめーーー!」とその期待に応えてくれる。

シンプルで当たり前のようでありながら、なかなかなかったこの高揚感、そして充実感。
素晴らしい。

初心者の方のアテンドにオススメの星組になりそうです。いやもうなってます。

個々の場面について。
新場面、「北翔海莉コンサート」。いえ正式な場面名称は知りません(プログラム買いなさい)。ひとりみっちゃんが舞台に現れ、そこから朗々と明るく楽しく歌いながら客席をかなりの時間練り歩くという、コンサートそのものの場面です。めちゃくちゃ盛り上がりました。
初演時、タニさんが黒燕尾でひとり歌いながら銀橋を渡ったあの歌は、サヨナラ色バンバンだったので場面差し替えになるかと思いきや、今回もありました。
男役燕尾の場面で、ひとり階段中央に腰を落とすみっちゃんに、一瞬だけちえさんを見た。なぜだろう。


「トップさんが変わると組の雰囲気が変わる」と、よく言われます。
私は宝塚100周年の前年、99周年だった2013年の早春にヅカ落ちしたので、この100周年の「退団ラッシュ」でトップの交代というものを初めて、しかも立て続けに見ました。

私が宝塚を好きになった当時からトップが変わっていないのは、もはや月組のまさちゃぴだけになりました。
花雪星宙、4組が変わりました(宙組はみりおんが続投しているけれど)。

その中で、トップの交代により「これから変わっていきそうだなあ!」と思った組と、「これからも続いていくんだろうなあ!」と思った組。

私としては花組雪組はあまり変化を感じなかった(実際には花組は上級生の組替えや退団が多く、一気に若い組になったので変化は大きかったのでしょうが、あくまで私の受け取り方として)。
一方、宙組星組はその変化を強く感じさせられた組です。

今回のAmourのようなレビューは、ちえねね時代には一度もやらなかったのではないか。また、ちえねね時代が続いたらこの先もやることはなかったのではないか。そういう作品でした。

宝塚の基本に立ち返るような、クラシカルで優雅なレビュー。
ちえねねは6年間という時間の中で、いつの間にか「宝塚的スタンダード」から離れた存在になってしまっていた。そしてそれは下級生も同じだったんじゃないか、と(星組の95期以下は、自身の組配属からつい先日の5/10まで、ちえねね以外のトップを知りませんでした)。

みっちゃんを星組でトップにすることで、星組をある意味「宝塚的スタンダード」に引き戻し、方向修正をしようとしているのかもしれないな、と思いました。

ちえねね時代に培った組の一丸となる強さと、専科からトップに就任したみっちゃんの影響力と。
それぞれが今後の星組の中で上手く混ざりあっていきますよう。

楽しみです。


みちふうの大劇場2作目は、2本立てって信じてますからね!!!
歌いに歌うショーをお願いしますよ!!