沼に落ちて。

ほぼ100%宝塚

舞音/GOLDEN JAZZを観てきました。

初日後すぐ観に行きたかったのですが、雪組バウ公演「銀二貫」と合わせて遠征すべく、11/21-23の日程でムラへ飛び、舞音/GOLDEN JAZZを3回観てきました。

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座席は1階下手が2回、1階上手が1回。
2階やセンターから観るのは東宝になるかなというところ。
新人公演を観る前に、とりあえず舞音本公演の印象を。


  • 舞音
アベ・プレヴォの「マノン・レスコー」を元に舞台を1930年前後のフランス領インドシナに置き換えた…という話。
原作を全く読んでないのが幸か不幸か、私は割と好きな感じなんですけど、どうも聞いていると好き嫌いが割と分かれるらしく。

特別アジアかぶれとかではないんですが、でもなんとなく親しみを覚える、民族音楽っぽい音やリズム。
幕開きすぐの港の場面、まさおやカチャたちの後ろで現地の人々の生活や様子が垣間見れるようですごく好き。
掘っ立て小屋みたいな場所で雑炊か何か作って売ってるんだろうな(舞台センター奥でこのちゃんが頬っぺた膨らませて一生懸命かき込んでる)というのとか、スコールの後、おそらく泥だらけになりながらキラキラした目で水たまりをすくって水を投げて遊んでる子供とか。

植田景子先生お得意の?舞台装置が美しいですね。「美しいだけで脚本は(ry」とか言われたらまあ、ツッコミどころがないわけじゃないですけど、舞台装置が美しくて目が喜ぶっていうのも重要な要素ですからね(舞台背景がほぼ書き割りだけの某名作を思いながら)。

トップコンビ萌えとかはあまりない方だと思うので、作品全体が面白ければまさちゃぴが組もうが離れようがあまり気にしないんですが(例:1789)、こういうガッツリと愛し愛されみたいな作品を観ると、「やっぱりトップコンビっていいなあー」と思いました。トップコンビ以外だとなかなかあそこまでガッツリ描けないし出来ないんじゃないかなっていう。それは観る方の心構え的な意味も含めて。

主人公・シャルル(龍真咲)はフランスからインドシナに駐在が決まりやってきたフランス海軍の若きエリート将校。具体的には「デュラン大尉」だそうです(劇中で呼ばれていた)。
ダンスホールでたまたま見た踊り子のマノン(愛希れいか)に一目で惹きつけられ、彼女への愛ゆえに破滅の道へ。途中で賭博にも手を出し、密輸にも加担し?、そして海軍も辞めてしまい……そして最後は、というのがストーリーの概要ですね。

物語の軸は大きくふたつあって、シャルルたちフランス側の人間と、ソンやカオたちインドシナ側の人間と。
マノンやクオン(珠城りょう)はインドシナ側なんだけれど、フランス人とインドシナ人の間に生まれたという立場。父がフランス人で大地主、子供の頃は立派な屋敷で贅沢三昧、何ひとつ不自由なく暮らしていたのに、その父が急死した途端「野良犬同然」に放り出され、「貧しさを骨の髄まで味わった」結果、「金こそがこの世のすべて」と攻撃的になったのがクオン。マノンは同じく「お金がないことの惨めさ」を知っているのだけど、攻撃的というよりは情緒不安定というか、「金がなくなると途端に不安になる」。

クオンはインドシナもフランスも信じられず、金だけを信じて自分のために生きようとする人間。でも当初の役のイメージよりも悪役っぽさは全然なかったですね。そこに至るまでの背景が同情せざるを得ないし、貧しさを一緒に生き抜いてきたであろう妹・マノンに対しては言葉は多少荒々しくても優しくしてるような感じだったし(妹が迎えに来て、って言ったらしっかり迎えに行くお兄ちゃんですよ)(まああれも金のためと言えばそうかもしれませんが)。

今回タカスペ2015のポスターにたま様が「2番手」として写真が掲載されたり、ショーの方ではついに大羽根を背負ったりと、いよいよ混沌とした月組人事が動き始めたか…と思われましたが、「舞音」に関して言えばたま様が2番手として目立って美味しい役か?と言われればうーーん、という感じでした。
物語終盤に出番はないし、悪役度も薄いし。銀橋渡りながらひとりで歌っていたから、そこは2番手ぽかったかもしれないけれど……


たま様の話ばかりしすぎました。

美弥さま演ずる「もう一人のシャルル」。風共のスカーレットⅡ的なキャラかというと、それともちょっと違いましたね。まず劇中、最後も最後のあの一言を除いて全くセリフがない。
シャルルの心の内をダンスや表情で表現する、といったポジションですかね、出番としてはかなりの時間舞台上にいるように思います。まさおのお芝居を補完する役割という意味合いよりも、「大貴族の長男として叩き込まれ、自由に振る舞ったことのない」シャルルの人柄(設定)を分かりやすくする立場かな、と。
捕らえられたマノンが手紙を読むシーンでそっと彼女に寄り添うのが好きです。

カチャ演ずるクリストフはシャルルと同じくフランス海軍で、シャルルの友人。「君が苦しい時には、私が君の友人ということを思い出してくれ」とか、「君がフランス海軍としての誇りを捨てないように」とか、とにかくいい人。
シャルルとのデュエットが2回あったんだけど、歌詞があまりハッキリとはしなかったのが残念でした。2人で違う歌詞を同時に歌ってるから仕方ないのかな。

ちゃぴのマノンはとにかく無邪気で可愛かった。黒髪も似合っていたし。生きるために富豪たちの間を行ったり来たりしてお金を得ている。それがどういうことなのかよく分かっていないような無邪気さにも見えるし、分かった上で無邪気に振る舞わざるを得ないようにも見えて。無邪気に振る舞わざるを得ない、というのは男たちに気に入られるためという側面もあるだろうし、本人の自尊心というか、精神的な防衛行動としても。


今回としさんの役(ソン)が大きくてセリフも多いのが嬉しかったですね!ストーリーの中の重要度から言ったらかなり上の方だと思うし、物語の軸2つのうち、インドシナ側の軸を中心となって動かしていたのはとしさんと言ってもいいかもしれない。

そのソン(宇月颯)の元で下働きをしているのがカオ(朝美絢)。
公式の配役発表時点で「フランス支配から祖国の独立を目指す民族主義運動に命を捧げる青年」と書き込みがやたらあったので期待はしてたんですが、いやー、驚きました。
一瞬とはいえ海ちゃんと2人きり本舞台で歌ったり、銀橋出てきたと思ったらセンターで客席を見渡し反政府メンバーの陣頭指揮を取ったり。ポジションアップ感半端なくて戸惑いました\(^o^)/
たま様との絡みも、まあ穏やかな感じでは全くないわけですがありましたし。しかも2人きりだったり、3-4人しかいなかったりする場面で。
なお「命を捧げる」ということは死ぬんじゃないか?と思ったんですが死ななかったですね←

A-ENを共に主演したありちゃんは、前回1789のフェルゼンが嘘のような感じでした。
反政府メンバーの中の一青年と言った感じで、チョコっと歌ったりはしますが少人数口の場面に出たり単独行動はなく。本来の「98期の若手ホープらしい役」と言えばその通りというか。他の反政府トリオメンバー(このちゃん・るねくん)と共に他場面でアルバイトもしてるよ!

反政府トリオメンバーの中では、むしろありちゃんよりもこのちゃんの方が美味しかったかもしれない。
終盤、流刑が決まったマノンたち囚人の前に現れた反政府派の集団の中で、セリフがあるのはとしさん・あーさ・このちゃんの3人だった気がするし。
ちなみにここのこのちゃんのセリフが羨ましいくらいカッコイイんですよね……あーさのセリフより、このちゃんのセリフの方がカッコイイと思う。本人のお芝居によるものではなく、単純に文面としての内容が。


全然まとめ切れてないけど、移動中なのでこの辺で(※新公のためムラに向かってる最中)。